星の願いと地上の祈り
星と星が出会う年に一度の奇跡
白鳥の背中を渡り
愛しい人に会える特別な日
年に一度の奇跡の日
短冊に書かれて小さな子供達の言葉は
白鳥となり恋人同士を引き合わせる・・・・
恋人達はそのお礼に短冊に書かれた
願いを叶える。
機械の中から暖かくて優しい人の言葉が
流れてくる中、椅子に座り机に噛り付く様に
手紙を書いていたは、流れてきた
声に文字を書くのを止め、声に集中した。
『離れ離れになった恋人達を会わしてあげる
手伝いが出来るなんてステキな事ですよね。
もし良かったら、皆さんも笹に飾りつけをし
短冊に付けて飾ってあげて下さいね。』
終わりの時間だったのか、声の主の名前と
別れの挨拶を言うと、声は聞こえなくなり変わりに
何かの商品を紹介する言葉が聞こえてきた。
「そっかぁ・・・・明日は7月7日かぁ・・・・・・
今年こそ天の川が見られるかなぁ」
ラジオの音をかき消す様なの呟きが部屋に響き
何かを計画したのか急いで部屋から出ると、電話の子機を
手に持ち再び自室に戻ってくると電話をし始めた。
「あ、将!?あのね、明日七夕じゃない!それで笹の葉に短冊を
付け様と思うんだけど将の願い事はナニ?」
「うん!解った!!私が将の変わりに短冊に書いていい?」
「ありがとう!明日短冊に飾って川に流すからね!
うん!そうだよ!!ちゃんと写真撮って送るからね!
え?うん!!将も頑張ってね!じゃ、おやすみなさい」
電話の電源を切ると、机の上に置き自室の電気を消し
ベットに入り目を閉じた。
目覚ましの音が鳴る前に目が覚め、急いで身支度を済ませ
朝食を食べる為にキッチンに入って行くと
テーブルでは父が新聞を読んでいる姿が視界に入った。
「おはよう。お父さん」
挨拶をしながらテーブルの近くを通りすぎ流し台に入って行くと
お弁当を包んでいる母の姿が入り、父親と同様に挨拶ををすると
穏やかな微笑みで挨拶を返された。
茶碗に白米を付け、味噌汁を持ち父親が座っているテーブルに
持っていくと、直ぐに母親もテーブルに付き
家族揃っての朝食となった。
「、今日も残業があるかもしれないから
学校からが帰ってきたらしっかり戸締りをしてね」
朝食が済み、使った皿を母が洗い、洗い終わった皿を
が布巾で拭いていると、母親が話し掛けてきた。
「うん、解った。怖かったらカズ先輩に来て貰うよ」
少しでも安心をしてもらえる様に笑顔で返事をすると
母親が言葉を付け足してきた。
「そう毎日じゃ、一君も迷惑じゃないかしら?」
安心させる為の言葉に、逆に不安にさせ困らせてしまうが
「大丈夫だよ!
カズ先輩も何かあったら直ぐに呼べ、て言ってたし」
の言葉に
「そう?」
困った様に聞き返すと
「大丈夫だよ!」
先ほどと代わらず笑顔で言葉を返すと
「一君には迷惑かけてばかりねぇ」
と、呟きながら苦笑すると会話が終わり、互いに出て行く準備を
し、自分より早く出てゆく父親と母親を見送ると
自室に戻りカバンを手に取り、台所に入りガスや
窓のカギのチェックを済まし外に出ると、
門前にカズが立っていた。
「おはよう御座います。カズ先輩」
「おはよう」
お互い挨拶を交わすと、歩き出し他愛にない話をしながら
学校に向かって歩き出した。
「雨上がって良かったですねぇ」
「今日は晴れらしいちゃ」
「じゃ、今日は久しぶりにサッカーが出来ますね」
「まぁ、そうなるだろうなぁ」
「楽しみですよね!」
「がナニを愉しみにするんじゃ?」
「色々です!!」
あまりにの浮かれ具合に、途中からお互い
話がかみ合わなくなりったか頃、タイミング良く
昇降口に入り、一時離れ、再び顔を合わす頃には
昭栄も入り3人仲良く廊下を歩き、階段を上ると
カズと別れ、昭栄とも教室前で別れ、教室に入り
友達と挨拶や雑談をしていると始まりのチャイムが
なり、学校での1日が始まった。
今日一日、受けた授業はまったく頭に残らず
なんとか無事終了した。
「、部活行くちゃよ」
「待って、昭栄」
出入り口で大きな身体と大きな声でを呼ぶ昭栄に
慌てて、返事を返すとカバンの中に教科書などを入れ
まだ、教室に残っているクラスメートに声をかけながら
出入り口で持つ昭栄の元へ早足でかけて行き、
朝、通った廊下を2人で歩き、グラウンド横のサッカー部
専用の更衣室前で昭栄と別れを告げ、
1人コート前に立っていると、
1人、また1人と集まり始め、各自柔軟を始めると
皆揃って柔軟を終らせ、ボールを蹴り始めた。
そんな姿を見ながらカズを待つだが、今日は違った。
裏山にある笹を取りに行く為用務員室にカマを
借りに行くと、危ないからという事でおじさんが着いて来てくれ
丁度良さそうな笹を見つけると、カマで切ってくれ
グラウンドまで運んでくれた。
「ありがとうごさいました!」
言葉と共に頭も下げ礼を言うと、おじさんはにこやかに
用務員室に帰り、も取ってきた笹が邪魔にならない様に
グラウンドの端っこに置き、コートに戻ってみると
カズと昭栄とキャプテンが門前に立ち、今にも走り出す所だった。
走って3人がいる門に行き
「いってらっしゃい!」
と、声をかける3人は走り出した。
グラウンドでは、各自フォーメーションの練習をしたり
シュートの練習をしたり、色々な音や声を聞きながら
今走っていった3人の帰りを待っている。
朝からの快晴だった為、綺麗な夕日のオレンジが
無くなり藍色が広がってくる頃一番星の輝きと共に
走っていた3人が帰ってきた。
「お帰りなさい!」
行きと同様に、お帰りなさいと声をかけ
迎えると、息を荒くしながら
「おう」
と、返事を返しても貰い、更衣室に入って行った。
カズの着替えを持っている間にも取ってきた
笹を取りに行き、カズが出てくるのを待った。
「なんね、その笹は?」
着替えて出てきたカズの言葉には笑いながら
答えた。
「今日は七夕じゃないですか。だから飾ろうかと思って
裏山から、取って来たんですよ」
「ばってん、途中からの姿が見えなかたはずたい」
「あ、すいません・・・・」
「別に気にせんでよか」
笹を両手で持ち、更衣室前でカズと話していると
先ほどガズが言った言葉が聞こえた。
「、その笹どぎゃんすると?」
「ほら、今日は七夕だから飾ろうかと思って!
時間が良かったら昭栄も来て飾り付けしない?」
「行くたい!」
大きな身体にガッツポーズしながらに返事すると
カズがため息を付くと歩き出し、微笑みながら
そんなカズの行動に慣れているかのように自然と着いて行くと
一歩で遅れた昭栄が慌てて付いてきて3人並んで
の家へと歩いた。
「汚い部屋ですけど、どうぞ」
玄関のカギを開け、カズと昭栄を家の中に招き入れ
リビングに通すと、はカバンから色々な形に作られた
飾りを出し
「今日の休み時間に作ったんですよ」
1つ1つ、2人に見せると
「は器用に作るちゃねぇ」
昭栄に感心されながら笹に飾り付けをすると、
さほど時間は掛からず終った。
「後は、短冊を書くだけですよね!
という事で、カズ先輩も昭栄も書いて下さいね」
折り紙で作った短冊を2人に差し出すと
カバンの中から筆記用具を取り出し、短冊に向うと
昭栄は簡単に書き終え、カズは少し悩みながらも
短冊に願いを書いた。
等のも、何種の短冊に願い事を書き、慎重に
笹に括り付けた。
「、そげん願い事があると?」
括り付けた短冊を手に取りながら昭栄はに言葉を
かけると
「私のだけじゃないよ。将の分もあるし功兄の分もあるし」
昭栄の言葉には返すと
「は優しかとねぇ」
「そんなことないよ。すっごくワガママだよ」
昭栄の言葉にテレたのか少し赤い顔で昭栄に自分が書いた
短冊を見せながら
「だって、私の願いは皆の夢が叶います様にだよ。
これって、すっごいワガママだよね」
「そげんことなか!!は優しい!!
カズさんもそうげん思ってるはずたい!ね、カズさん!?」
昭栄とを見ていたカズは話を振られ
「おう」
一言返すと
「そうかなぁ・・・・・」
首をかしげながら、呟くにカズが言葉をかける
「出来上がったなら外に出すけん、ソコの窓のカギ開けるとよ」
飾り付けの完成した笹を持ち玄関に向って歩き出したカズの
言葉に従うようにはカギを開け、外に出てきたカズの姿を見た。
丁度、門の所に立て掛けると窓から見えて、3人並んで見るには
ちょうど良い角度だった。
「これで、織姫と彦星は皆の願いの乗った
白鳥の背中であえますねぇ」
昭栄とカズに挟まれ座っていたが空に向って
一人事の様に呟いた。
「その白鳥というのはちゃ?」
「昨日ラジオで言ってたの。皆の願いが書いた短冊が
白鳥になって、織姫と彦星いる川の橋になるて、
それで2人は会えたお礼に皆の願いを叶えてくれるんだって」
昭栄の質問にが答えた。
「そげん言われがあるちゃねぇ。
知らんかったばい」
今日何度目かの感心している昭栄の見ていると
両親が帰ってきて、カズと昭栄と一緒に夕食を取った。
いつもより多く作ったオカズがすぐになくなってゆく事に
呆気に取られ、喋る事も忘れは昭栄の食べる姿を見ていた。
「身長と食べる量は比例しているんだぁ・・・・・」
本日何度目かのの呟きは幸い誰にも聞かれず
消えて行った。
食事後、両親も交えながら話をしていると
もう遅いからと昭栄は帰る支度をし始めると
カズも一緒に帰ると言い
2人を見送る為、は笹の飾られている門まで
出ると、先に歩き出した昭栄に
「気を付けて!また、明日ね」
と、大きく手を振って言うと、の声に振り向き
昭栄もと同様に大きく手を振り返した。
「俺も帰るちゃ」
言葉を返すと自分の家の門をくぐって中に入って行った。
二人を見送り、両親に短冊を渡し、書いて貰うと
笹につけ、3人並んでみた夜空をもう一度見上げ
満足そうに頷くとお風呂に向った。
髪の毛を洗い、お気に入りのボディーソープで体を洗い
ゆっくりお湯に浸かり、今日あった事を思い出す。
ゆっくり浸かりすぎたのかいつもより長い事
お風呂に入ってしまったらしく、慌てて自室に戻り
将宛の手紙を書き始ると、マドに何か当たる音が聞こえ
不思議に思いマドに近寄ると、カズの姿が視界に入った。
カギを開けるとカズの声が聞こえてきた
「、今日の笹の事なんじゃが」
「なんですか?」
「いつ、川に流しに行くと?」
「えっと・・・明日の朝行こうかと思っているのですが・・・」
「俺も一緒に行くちゃ」
「はい、一緒に行きましょう」
1人で行くより2人の方が楽しいハズ!
カズの言葉を聞いた瞬間ソウ思いはカズに返事をした。
「それと、は昭栄の短冊見たと?」
「昭栄の短冊ですか?
確か世界一のFDになる!
でしたよ」
「そげん事書いとったか」
「はい!」
「の兄はナニを願ったんやろ?」
「将と功兄ですか?
功兄は将との夢が叶って幸せでありますように
で、将は
家族の皆が健康でありますように
でしたよ」
「そうか・・・・」
「はい、カズ先輩はナニを短冊に書いたんですか?」
「俺?別に大した事書かんかったけん、聞くな」
「解りました、じゃ私手紙の続き書きますね」
「おう。おやすみ」
「おやすみなさい」
同じ、タイミングで窓を閉めカギを掛け
カーテンをかけた。
はカズに言ったと通り、将の手紙を書き始め
カズはベットの上に大の字に寝転がり
何も音が無い部屋に呟いた。
「まさか自分がの事を短冊に書くとは思はんかった
『隣りにいて欲しい』なんて軟弱な男たい」
誰にも見付からない様一番上に付けた短冊に
願いを乗せ、空にいる離れ離れの恋人に届くのだった。
果たしてがカズの横にいるかは
空にいる恋人とカズの努力にかかっていた。